朝の光がカーテンの隙間から差し込む。深澤真由は、眠い目をこすりながらキッチンへ向かった。
冷蔵庫を開け、手際よく材料を取り出す。
バナナ、冷凍ベリー、そしてお気に入りの無調整豆乳。
これらをミキサーに入れ、スイッチを押すと、軽快な音とともに滑らかなスムージーができあがった。
グラスに注ぎ、一口飲む。
ひんやりとした舌触りに、豆乳のまろやかさとベリーの酸味が心地よく混ざる。
これを飲まないと、一日が始まらない。
真由が豆乳スムージーにハマったのは、三ヶ月前のことだった。
きっかけは、何気なく見ていたSNSの動画だった。
健康的なライフスタイルを送る女性が、毎朝豆乳スムージーを作り、美しい肌と引き締まった体を披露していた。
「こんなの、本当に効果あるの?」
半信半疑だったが、ダイエットと美容に興味があった真由は試してみることにした。
もともと豆乳は苦手だったが、果物と混ぜることで驚くほど飲みやすくなる。
何より、お腹が満たされ、間食が減った。
一週間後、肌が少し明るくなった気がした。
二週間後、いつもより疲れにくくなった。
三週間後には、体重が少し減り、気分も軽やかになっていた。
それ以来、彼女は毎朝豆乳スムージーを作るようになった。
最初はバナナとベリーが定番だったが、次第にアレンジを加えるようになった。
抹茶を入れて和風にしたり、オートミールを加えて満腹感を高めたり。
きなこや黒ごまを混ぜれば香ばしくなるし、デーツを入れれば自然な甘みが増す。
「この組み合わせ、最高!」
試行錯誤しながら自分好みのレシピを見つけるのが、楽しくて仕方なかった。
ある日、友人の莉奈が遊びに来たとき、真由は自慢のスムージーをふるまった。
「おいしい!これ、豆乳入ってるの?全然クセがないね!」
「でしょ?意外と合うんだよね」
それからというもの、莉奈もスムージーにハマり、毎朝のレシピを送り合うようになった。
豆乳スムージー生活を始めて三ヶ月。
真由の体には確かな変化があった。
肌はツヤが出て、化粧ノリが良くなった。
体重は以前より三キロ減り、鏡を見るたびに嬉しくなる。
「私、こんなに健康的な生活ができるんだ」
これまで何度もダイエットに挫折してきた彼女だったが、無理なく続けられることが、自信につながった。
そんなある日、近所のオーガニックカフェに行ったときのこと。
メニューを見ていると、隣の席の男性がふと話しかけてきた。
「豆乳スムージー、好きなんですか?」
驚いて顔を上げると、爽やかな笑顔の男性がいた。
「え、あ、はい…毎朝飲んでます」
「僕もなんです。豆乳スムージー、いいですよね」
彼の名前は悠人。管理栄養士として働く彼は、健康的な食事に興味があり、スムージーが大好きだった。
「おもしろいね、スムージーがきっかけで話すなんて」
「ですね。良かったら、おすすめのレシピ教えてもらえますか?」
そうして二人は、スムージーを通じて仲良くなった。
今では、真由と悠人は休日の朝、カフェでスムージーを飲みながら語り合うのが習慣になっている。
「豆乳スムージーがなかったら、悠人さんとも出会えなかったかも」
「運命の飲み物、だね」
そう言って笑い合う二人。
豆乳スムージーは、ただの飲み物ではない。
それは、真由にとっての健康と自信、そして新しい出会いをもたらした特別な存在だった。
そして今日もまた、彼女はミキサーのスイッチを押す。
心地よい音とともに、今日という一日が始まる。