はるか昔、地上と天界を繋ぐ橋が存在したと言われている時代、北極星は単なる星ではなく、人々を導く「星の王」だった。
北極星には、天の法則を守り、迷える魂を導く使命があった。
彼は無数の星々の中でも最も輝き、その光は夜空を旅する者たちに希望を与えていた。
しかし、その輝きの背後には、北極星の深い孤独があった。
天の頂点に立つ存在として、北極星は常に一箇所に固定されている運命を背負っていた。
ほかの星々が自由に夜空を流れ、きらめき、消えていくのを見ながら、彼はただ見守るしかなかった。
北極星には唯一の友がいた。
それは「オーロラ」だった。
オーロラは地球から天界へと昇る祈りのエネルギーそのものであり、美しく揺れる光の姿で夜空を彩る存在だった。
北極星とオーロラは夜ごと語り合い、互いにその役目の重さを慰め合っていた。
オーロラは北極星にこう言ったことがある。
「あなたが動かずそこにいるから、誰もが道に迷わず進むことができるのよ。それは孤独な使命だけれど、世界中の人々があなたに感謝しているわ。」
北極星はその言葉に感謝しながらも、いつか自由に動き回りたいという密かな願いを心に抱いていた。
ある夜、天界に異変が起きた。
闇の精霊たちが現れ、星々を覆い尽くそうとしたのだ。
彼らは夜空を支配し、地上に絶望をもたらそうとしていた。
星たちは恐怖に怯え、光を失いかけていた。
その中で唯一、北極星だけが変わらず輝き続けていた。
闇の精霊たちは北極星を狙った。
「お前を覆い隠せば、夜空は完全に我らのものになる!」と叫びながら、精霊たちは彼に襲いかかった。
北極星は激しく光を放ち、精霊たちを退けた。
しかし、その戦いは北極星のエネルギーを著しく消耗させた。
彼の輝きは弱まり、星々も悲しみに包まれた。
その時、オーロラが現れた。
「北極星、あなたを守るために私の力を捧げます。」
オーロラは自らの光を北極星に注ぎ込み、彼を再び輝かせた。
すると、北極星の光はこれまで以上に強く輝き、闇の精霊たちは完全に追い払われた。
しかし、オーロラはその犠牲として形を失い、夜空から姿を消した。
北極星はオーロラの犠牲に胸を痛めながらも、彼女が残してくれた力と想いを胸に誓った。
「私はこれからも永遠に輝き続け、地上と天界を繋ぐ光となる。」と。
それ以来、北極星はさらに強く輝き、その存在は揺るぎないものとなった。
彼の光は夜空を見上げるすべての者に希望と勇気を与え続けている。
そして時折、オーロラが再び空を彩るとき、北極星は微笑みながらその輝きを見つめるのだった。