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まちがいだらけの宝探し

その日、町の掲示板に一枚の紙が貼られていた。「宝の地図、見つけました。ほしい人はどうぞ」手書きの地図には、大きくこう書いてある。“まちがいだらけの宝探し”ぼくは学校の帰り道、友だちのミナトとその紙を見つけた。「なんだこれ」「宝探しだって。行...
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なんでもない日が記念日になる朝

その朝、ぼくはいつもより三分だけ早く目が覚めた。特別な理由はない。ただ、カーテンのすき間から差し込む光が、少しだけきらきらして見えたからだ。「……なんでもない日だよな」カレンダーを見る。丸も星もついていない、まっさらな日。誕生日でも、祝日で...
不思議

ちょっとだけ透明になった日

朝、目を覚ましたとき、ぼくは自分の手が少しだけ向こう側の景色を通していることに気づいた。窓の外の空が、うっすらと指の中に見えている。「……あれ?」手を振ると、光がゆらりと揺れた。完全に消えているわけじゃない。けれど、ガラスみたいに、ほんの少...
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世界いちばん短い夏休み

その町の夏休みは、たった一日しかなかった。七月三十一日の午前零時から、同じ日の午後十一時五十九分まで。理由は誰も知らない。ずっと昔、町役場の時計台が落雷に打たれた日から、夏は一日で終わるようになったのだという噂だけが残っている。中学二年の真...
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しあわせのつり銭は多めで

商店街のいちばん端に、その古びた店はある。看板には小さな文字で「つり銭屋」と書かれている。レジもなければ値札もない。あるのは、古い木箱と、真鍮の小さな皿だけだ。その店では、お金の代わりに「今日あったこと」を差し出す。嬉しかったことでも、悔し...
不思議

くるくる回る放課後惑星

わたしの通う学校の屋上には、放課後だけ現れる惑星がある。チャイムが鳴り終わると同時に、屋上の空気が水面みたいにゆらぎ、そこに直径三メートルほどの小さな星が、くるくると回りながら降りてくるのだ。色は日替わりで、月曜はレモン色、火曜は群青、水曜...
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おやすみ前の大冒険

夜の九時。まくらの上にあごをのせて、わたしは天井を見つめていた。明日は少しだけ苦手な発表の日だ。胸の奥が、きゅっと結ばれたままほどけない。「ねむらなきゃ」そうつぶやいたとたん、部屋のすみで、なにかが小さく光った。机の下に転がっていたのは、見...
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未来から来た転校生は方向音痴

その転校生が教室に入ってきた瞬間、わたしは思った。この人、きっと世界のどこかを間違えて来てしまったのだ、と。四月の終わり、桜がほとんど散ったころ。彼は黒板の前で小さく会釈し、「未来から来ました」と言った。教室は一瞬静まり返り、すぐに笑いが起...
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笑いすぎ注意報、発令中

その朝、町じゅうのスマートフォンが同時に震えた。《本日午前九時、笑いすぎ注意報を発令します。不要不急のくすぐりはお控えください》差出人は気象庁……ではなく、《感情気象観測所》。空の天気だけでなく、人の心の気圧も測る、ちょっと変わった役所だ。...
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うっかり魔法使いの休日

うっかり魔法使いのルオは、めったにない休日の朝を、たいへん慎重に迎えるつもりだった。なにしろ彼は、これまで幾度となく「ちょっとしたつもり」で世界をずらしてきた。くしゃみをすれば隣町にだけ春がもう一度来てしまい、鍋を焦がせば台所の時間が三分ほ...