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しあわせはポケットの中でくしゃみする

その朝、ぼくは自分のポケットがくしゃみをした音で目を覚ました。「へっくしょい!」ベッドの上で体を起こすと、パジャマのポケットが小さくふくらんで、ぷるぷる震えている。「……今の、ぼくじゃないよね?」そっと指でつまんでみると、また聞こえた。「へ...
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きみと笑うための作戦会議

放課後の図書室には、たいてい誰もいない。本の匂いと、窓から差しこむ夕方の光が、静かに積もっているだけだ。けれど、その日だけは違った。「よし、作戦会議を始めよう」机の上にノートを広げて、ぼくは言った。向かいに座るのは、クラスメイトのミナミ。少...
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おひさまを半分こする朝

朝、窓のすきまから入ってきた光が、机の上でまるい形になっていた。「……あれ?」まだ少し眠い目をこすりながら、ぼくはその光をのぞきこむ。すると光は、まるでパンみたいにふっくらしていて、手を近づけるとほんのりあたたかかった。そのとき、コン、と窓...
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明日が待ちきれない夜

その夜、町は少しだけそわそわしていた。もちろん、いつもの夜と見た目はほとんど変わらない。商店街の灯りはゆっくり消えていき、遠くで電車が一度だけガタンと鳴り、コンビニの前には自動ドアの風が静かに吹いている。でも、どこか空気が軽くて、星まで落ち...
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まちがいだらけの宝探し

その日、町の掲示板に一枚の紙が貼られていた。「宝の地図、見つけました。ほしい人はどうぞ」手書きの地図には、大きくこう書いてある。“まちがいだらけの宝探し”ぼくは学校の帰り道、友だちのミナトとその紙を見つけた。「なんだこれ」「宝探しだって。行...
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なんでもない日が記念日になる朝

その朝、ぼくはいつもより三分だけ早く目が覚めた。特別な理由はない。ただ、カーテンのすき間から差し込む光が、少しだけきらきらして見えたからだ。「……なんでもない日だよな」カレンダーを見る。丸も星もついていない、まっさらな日。誕生日でも、祝日で...
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ちょっとだけ透明になった日

朝、目を覚ましたとき、ぼくは自分の手が少しだけ向こう側の景色を通していることに気づいた。窓の外の空が、うっすらと指の中に見えている。「……あれ?」手を振ると、光がゆらりと揺れた。完全に消えているわけじゃない。けれど、ガラスみたいに、ほんの少...
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世界いちばん短い夏休み

その町の夏休みは、たった一日しかなかった。七月三十一日の午前零時から、同じ日の午後十一時五十九分まで。理由は誰も知らない。ずっと昔、町役場の時計台が落雷に打たれた日から、夏は一日で終わるようになったのだという噂だけが残っている。中学二年の真...
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しあわせのつり銭は多めで

商店街のいちばん端に、その古びた店はある。看板には小さな文字で「つり銭屋」と書かれている。レジもなければ値札もない。あるのは、古い木箱と、真鍮の小さな皿だけだ。その店では、お金の代わりに「今日あったこと」を差し出す。嬉しかったことでも、悔し...
不思議

くるくる回る放課後惑星

わたしの通う学校の屋上には、放課後だけ現れる惑星がある。チャイムが鳴り終わると同時に、屋上の空気が水面みたいにゆらぎ、そこに直径三メートルほどの小さな星が、くるくると回りながら降りてくるのだ。色は日替わりで、月曜はレモン色、火曜は群青、水曜...