ブロッコリーの夢

面白い

広大な畑の片隅に、小さなブロッコリーの苗が芽を出した。
彼の名前はブロッコロリー。
朝日を浴びながらゆっくりと葉を広げ、仲間たちとともにすくすくと成長していった。
畑には、鮮やかな赤いトマトのトム、長くて立派なニンジンのキャロットじいさん、いつも元気いっぱいのナスのナスコなど、個性豊かな野菜たちが暮らしていた。
みんなはお互いに助け合いながら、日々の成長を楽しんでいた。

しかし、ブロッコロリーにはひとつ悩みがあった。
自分は何のために生まれてきたのか、それが分からなかったのだ。
トマトはサラダやパスタに使われ、ナスは焼いたり煮たりして美味しく食べられる。
キャロットじいさんは子どもたちに人気があり、ジュースにもなる。
だが、自分はどうだろう。
ブロッコリーはただ緑色をしていて、特別な個性があるとは思えなかった。

「お前はお前のままでいいんじゃよ。」
キャロットじいさんは笑ってそう言ったが、ブロッコロリーにはピンとこなかった。
ある日、畑に農家の人たちがやってきて、野菜たちの収穫が始まった。
大きく育ったトムやナスコが次々とカゴに入れられていく。
ついにブロッコロリーも収穫され、市場へと運ばれた。市場にはたくさんの野菜が並んでいた。
赤々としたトマト、ピカピカのナス、甘そうなトウモロコシ。
それらと比べると、自分は地味な気がしてブロッコロリーは不安になった。

そんなとき、一人の男の子が母親と一緒に市場を訪れた。
「お母さん、今日の晩ごはんにブロッコリーが食べたい!」
男の子は目を輝かせながらブロッコリーを手に取った。
母親も微笑みながら「ブロッコリーは栄養たっぷりだからね」と言い、カゴに入れた。
ブロッコロリーは驚いた。自分を欲しがる人がいるなんて思ってもみなかったからだ。

家に運ばれたブロッコロリーは、丁寧に洗われ、熱湯で茹でられた。
ぐつぐつとお湯が沸き、彼の緑色はより鮮やかになっていった。
「僕はどうなってしまうんだろう?」不安に思っていると、お母さんはマヨネーズを添え、きれいに盛り付けた。
そして、男の子が嬉しそうにブロッコリーを口に運んだ。
「わぁ!おいしい!ブロッコリー大好き!」
男の子の笑顔を見た瞬間、ブロッコロリーは気づいた。
自分は美味しいだけじゃない、人を元気にする力があるのだ。

自分には特別なものがないと思っていた。
でも、それは間違いだった。
自分は誰かを健康にし、笑顔にすることができる。
そのことに気づいたとき、ブロッコロリーの心は温かくなった。
もう迷うことはない。
僕はブロッコリーとして生まれてきてよかったんだ。
そう思いながら、ブロッコロリーは幸せな気持ちに包まれていった。
畑では、今日も新しいブロッコリーたちが芽を出している。
きっと彼らも、自分の大切な役割に気づく日が来るだろう。