アルトは朝日を浴びながら大きく伸びをした。
雲ひとつない青空が広がり、鳥のさえずりが爽やかに響く。
こんな日は冒険に出るしかない。
彼が住む村、リュネールは豊かな自然に囲まれた小さな集落だった。
村の人々は穏やかに暮らしていたが、アルトは退屈を感じていた。
彼は幼い頃から地平線の向こうに広がる世界を夢見ていたのだ。
そして今日こそ、その第一歩を踏み出す日だった。
彼は母親が用意してくれたパンと水筒をリュックに詰め、腰に短剣を携えた。
そして村の門をくぐり、森の小道へと足を踏み入れる。
木々の隙間から差し込む日差しが、黄金色に輝いている。
彼の心もまた、期待と興奮で輝いていた。
しばらく歩くと、川のせせらぎが聞こえてきた。
アルトは川辺に腰を下ろし、水をひとくち飲む。
冷たく澄んだ水が喉を潤し、彼の心をさらに軽くする。
すると、向こう岸から誰かの声が聞こえてきた。
「君も旅人かい?」
声の主は、アルトと同じくらいの年の少年だった。
短い茶色の髪に、動きやすそうな軽装。
腰には短剣を下げている。
「そうだよ。今日から冒険を始めるんだ」
「それは奇遇だな!俺もさ。名前はライルって言うんだ」
二人はすぐに意気投合し、旅を共にすることになった。
ライルは剣術が得意で、アルトは地図を読むのが上手だった。
互いの得意なことを活かしながら、森を抜け、草原を越えていった。
やがて、二人は丘の上に出た。
そこからの眺めは圧巻だった。
遥か遠くまで広がる大地、点在する湖、そしてその先には山脈がそびえ立っていた。
「すごい景色だな……」アルトは感動のあまり、息をのんだ。
「本当に。これだから旅はやめられないんだ」ライルも同じく目を輝かせていた。
その時、遠くの森の奥から獣の咆哮が聞こえた。
二人は顔を見合わせる。
「行ってみよう!」
森の奥へと進むにつれ、空気が変わった。
木々がうっそうと生い茂り、陽の光が届きにくくなっていた。
鳥のさえずりも消え、不気味な静寂が広がる。
やがて、巨大な黒い影が姿を現した。
それは、大きな牙を持つ狼だった。
「アルト、下がれ!」ライルが短剣を抜く。
アルトも構えたが、膝が震えていた。
しかし、ライルは落ち着いていた。
狼が飛びかかると同時に、ライルは素早く横に避け、狼の横腹を斬りつけた。
狼は鋭く吠え、怒りに満ちた目で二人を睨む。
「アルト、今だ!」
アルトは全力で短剣を振るい、狼の脚を狙った。
鋭い一撃が決まり、狼は怯んだ。
その隙にライルがもう一撃を加える。
やがて狼は苦しげに唸りながら、森の奥へと逃げ去った。
二人はしばらくその場に立ち尽くした。
アルトの心臓は激しく鼓動していたが、次第に落ち着きを取り戻した。
「やったな……!」ライルが笑う。
「うん……!」アルトも笑い返す。
この旅には、まだまだ未知の冒険が待っている。
青空の下、二人の旅は続いていくのだった——。