生命の松の鏡

ホラー

昔々、遠くの山脈の向こうに小さな村がありました。
この村は美しい自然に囲まれ、特に村の中心にそびえる大きな松の木が村人たちにとって神聖な存在でした。
村人たちはこの松の木を「生命の松」と呼び、古代の伝説によれば、この松の木が村を守る守り神であると信じていました。

ある秋の日、村の若者たちは冒険心から、生命の松を探検することに決めました。
村の長老たちは彼らに祈りを捧げるように忠告し、慎重に行動するように言いました。
若者たちは祈りを捧げた後、生命の松に向かって進みました。

生命の松の中に入った瞬間、彼らは驚愕の光景を目にしました。
木の中央には巨大な鏡が立てかけられ、その鏡には彼ら自身の死の瞬間が映し出されていました。
一人は火事で焼死し、別の人は病気で衰弱し、また別の人は事故に巻き込まれていました。
彼らの死の姿が鏡に映し出され、それは非常に恐ろしいものでした。

驚いた若者たちは村に戻り、村人たちにその出来事を伝えました。
村人たちは憂慮し、生命の松の神聖な力が何かに乱されたのではないかと心配しました。
しかし、その後も不吉な出来事が村で続発し、村人たちは次第に絶望に陥りました。

ある日、再び生命の松を訪れた村人たちは、鏡がなくなっていることに気づきました。
代わりに、鏡の前には一枚の古びた紙が置かれていました。
「人々の死は未来を映し出すものだ。」という文字が書かれていました。

村人たちはこの言葉を理解しようとしました。
鏡は未来の出来事を示し、それが村人たちの運命を切り開いたのかもしれないと考えました。
しかし、その時点で既に多くの村人が死亡し、村は荒廃しました。
松の木も葉を失い、やがてその枝も折れてしまいました。

村は人の住む場所ではなくなり、最終的には忘れ去られました。
しかし、その恐ろしい出来事は村の伝説として語り継がれ、生命の松の鏡が示した未来は村人たちにとって永遠に謎として残りました。