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動物

わんこのクローゼット

ミミは、トイプードルのチョコが大好きだった。チョコはふわふわの毛並みを持つ小さな犬で、おしゃれをするのが大好きだった。ミミは毎月、新しい服を買い揃えては、チョコに似合うかどうか確かめるのが楽しみだった。ピンクのワンピース、チェックのジャケッ...
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ブロッコリーの夢

広大な畑の片隅に、小さなブロッコリーの苗が芽を出した。彼の名前はブロッコロリー。朝日を浴びながらゆっくりと葉を広げ、仲間たちとともにすくすくと成長していった。畑には、鮮やかな赤いトマトのトム、長くて立派なニンジンのキャロットじいさん、いつも...
動物

しっぽふりふり、シャンプー日和

「ようこそ、『ドッグパラダイス』へ!」店の扉を開けると、ふわりと石鹸の香りが漂い、シンクの中では小さなチワワが気持ちよさそうに目を細めていた。店主の橘(たちばな)優人は手際よく泡を流しながら、客の女性に微笑んだ。「モモちゃん、今日は乾燥しや...
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透明な夢

瑠璃(るり)は、小さなアトリエでレジンアートを作るのが日課だった。彼女の作品は、光を受けて七色に輝き、見る者の心を惹きつける。透明な樹脂の中に、繊細な花や貝殻、小さな時計の歯車を閉じ込めることで、時間を止めたかのような幻想的な世界を生み出し...
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マスクド・レジェンド

プロレス界に名を馳せる覆面レスラー、レイ・ファントム。その素顔を知る者はごくわずか。彼は驚異的な身体能力と華麗な空中殺法で観客を魅了し、「リングの亡霊」とも呼ばれていた。だが、ここ最近の試合では、かつての輝きを失いかけていた。そんな中、新た...
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目薬の奇跡

僕の名前は「クリアドロップ」。小さなガラス瓶に詰められた目薬で、街の薬局に並んでいる。ただの目薬として生まれた僕だけれど、実はちょっとした夢があった。それは、「誰かの大切な瞬間を守ること」。僕は薬局の棚でしばらく過ごした。周りの仲間たちは次...
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匂いが導く未来

田中涼介は、シャンプーに異常なまでのこだわりを持つ男だった。彼の朝は、シャンプーの匂いを確かめることから始まる。寝起きのぼんやりとした頭でバスルームへ向かい、整然と並べられた数十本のシャンプーボトルを前に目を細める。フルーティーな香り、ハー...
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リップの向こう側

私の部屋の棚には、ずらりとリップが並んでいる。赤、ピンク、ベージュ、オレンジ……艶やかなもの、マットなもの、ティントタイプ、スティックタイプ。海外ブランドからプチプラまで、メーカーも質感もバラバラだが、それぞれに思い出が詰まっている。「また...
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仮面舞踏会の夜に

十九世紀のヨーロッパ、華やかな貴族社会が栄華を極める時代。とある国の王宮では、年に一度の盛大な舞踏会が開かれる。この夜ばかりは身分の隔たりもなく、貴族も平民も仮面をつけて踊り、秘密を抱えて戯れるのだった。「今宵、運命が交差する」そんな噂が広...
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音の魔法使い

静かな田舎町に、ひとりの少年が住んでいた。名を奏太(そうた)という。奏太は、幼いころからピアノに魅了されていた。両親は音楽とは無縁だったが、彼が五歳の誕生日に祖父から小さなアップライトピアノを贈られたことが、すべての始まりだった。祖父はかつ...