蒼き結晶の記憶

RPG

森の奥深く、霧に包まれた村「ルーネ」。
そこに、一人の少年・リアンが暮らしていた。
彼は村の鍛冶屋の息子で、剣を鍛えるよりも古い遺跡を探ることに夢中だった。
ある日、森の奥で蒼く光る結晶を見つけた瞬間、彼の運命は大きく変わる。

手にした結晶から、声が聞こえた。
「――選ばれし者よ、時の扉を解く刻が来た」。
驚いたリアンは結晶を落とすが、それは空中で浮かび、淡い光を放ちながら彼の胸の奥へと吸い込まれていった。

その夜、村を魔獣が襲う。
黒い霧の中から現れた狼のような影が家々を焼き払う。
リアンが剣を手にした瞬間、胸の奥の結晶が輝き、彼の体を蒼い光が包んだ。
気づけば、彼は人の動きが止まったような世界に立っていた。
静止した時間の中で、ただ結晶の声だけが響く。
「時を織る者よ。お前の使命は、崩れた時の流れを修復すること――」

翌朝、村は瓦礫と化していた。
家族も仲間も行方不明。
絶望に沈むリアンの前に、一人の旅人が現れる。
黒いマントをまとった女性、セリア。
彼女は「蒼き結晶」を知る者だった。
「それは〈クロノクリスタル〉。時を司る古代の遺物。あなたが選ばれたなら、避けられぬ宿命があるわ」

セリアの導きで、リアンは失われた時の神殿へと旅立つ。
途中、傭兵カイルや魔導士リュシアらが仲間に加わり、彼らはそれぞれの“過去”を抱えていた。
カイルはかつて守れなかった故郷の時間を取り戻すために、リュシアは封印された妹を救うために。

旅の果て、リアンたちは「時の塔」に辿り着く。
そこには、かつて世界を守護したはずの神官アステルが待っていた。
だが、彼は時の力に溺れ、不死の存在となっていた。
「我が時を止めれば、世界の悲劇も止まる。すべての痛みは過去に留まるのだ」

リアンは叫ぶ。
「それでも、生きるというのは“進む時間”を選ぶことだ!」
戦いの果て、リアンはクロノクリスタルの力を解放し、凍りついた時間を再び動かす。
アステルは微笑みながら光の中へ消えた。

世界に再び朝が訪れる。
仲間たちはそれぞれの道へ戻り、リアンは一人、崩れた村の跡地に立つ。
手には淡く輝く小さな欠片。
「過去は変えられない。でも、未来は紡げる」

その言葉とともに、リアンは新たな剣を鍛え始めた。
蒼い結晶の輝きが、彼の心の中で静かに脈打っていた。

――そして、新たな時の物語が、今また始まろうとしていた。