今日のヨーグルトは、どんな味にしようか?」
目を覚まして最初に考えるのは、いつもヨーグルトのことだった。
白石 涼は、ありとあらゆる食材とヨーグルトの組み合わせを試すことに情熱を注ぐ青年だ。
彼の冷蔵庫には、常にプレーンヨーグルトが数種類揃えられている。
ギリシャヨーグルト、カスピ海ヨーグルト、普通の無糖ヨーグルト——それぞれに特性があり、組み合わせる食材によって適切な選択が求められる。
「昨日は醤油と刻みネギだったし……今日は、ちょっとスイーツ寄りにしようかな?」
彼は冷蔵庫を開け、棚をじっと見つめた。
目に入ったのは、粒あんの瓶。
「和風パフェ風ヨーグルト、いけるかも」
涼はプレーンヨーグルトを器に盛り、そこに粒あんを適量加えた。
そして、ひとつまみの塩を振る。
さらに、すりごまときな粉をトッピング。
スプーンですくって口に運ぶと、ヨーグルトの酸味と粒あんの甘さが絶妙に絡み合う。
そこに塩のアクセントが加わり、味がぐっと引き締まる。
「これは……成功だな!」
小さくガッツポーズをしながら、彼はメモ帳に「粒あん×塩×すりごま×きな粉=◎」と記録した。
ある日の挑戦
涼には、ずっと挑戦したいと思っていた組み合わせがあった。
それは「カレーとヨーグルト」だ。
インドカレーにはヨーグルトが使われることがあるが、日本の家庭的なカレーとは相性がどうなのか——それが気になって仕方なかった。
「よし、試してみるか」
冷凍していたカレーを解凍し、温める。
器にご飯をよそい、カレーをかけた。
その上に、たっぷりのギリシャヨーグルトをトッピングする。
さらに、香り付けにパクチーを添えてみた。
「……さて、お手並み拝見といこう」
スプーンですくい、恐る恐る口に運ぶ。
「ん?……おおっ!」
意外なことに、ヨーグルトの酸味がカレーのスパイスを引き立て、まろやかさが加わっている。
まるで本格的なインドカレーのような奥深い味わいになった。
「これは新発見だぞ……!」
感動しながら、涼はまたメモを取り始めた。
ヨーグルト研究の行き着く先
涼のヨーグルト研究は、次第にエスカレートしていった。
ある日、友人の真希が訪ねてきた。
彼女は涼のヨーグルト愛をよく知る数少ない理解者だった。
「また何か変なもの試してるんでしょ?」
「変じゃない!これは進化だ!」
涼が差し出したのは、「ヨーグルトコーヒー」だった。
「ヨーグルトと……コーヒー? え、これ大丈夫?」
「騙されたと思って飲んでみろって!」
真希は恐る恐るグラスを手に取り、一口飲んだ。
「……意外といける?」
「だろう?コーヒーの苦味とヨーグルトの酸味がいい感じに混ざり合って、まろやかになるんだよ」
「でもさ、どうしてそんなにヨーグルトにこだわるの?」
涼は少し考えてから、微笑んだ。
「ヨーグルトって、なんにでもなれるんだよ。甘くもできるし、しょっぱくもできるし、飲み物にもなるし、料理のソースにもなる。組み合わせ次第で、無限の可能性があるんだ」
真希は呆れたように笑いながら、「ほんと、ヨーグルトバカだね」と言った。
だが、涼は誇らしげに「そうだろ?」と答えたのだった。