ミミは、トイプードルのチョコが大好きだった。
チョコはふわふわの毛並みを持つ小さな犬で、おしゃれをするのが大好きだった。
ミミは毎月、新しい服を買い揃えては、チョコに似合うかどうか確かめるのが楽しみだった。
ピンクのワンピース、チェックのジャケット、小さな帽子付きのコート……ミミの部屋の一角は、チョコの服であふれていた。
そんなある日、ミミはふと気がついた。
「チョコ専用のクローゼットを作ろう!」
大好きなチョコのために、ちゃんと整理整頓できるスペースを作りたい。
ミミはお父さんと一緒に、小さな木製のクローゼットを作ることにした。
「チョコの服にぴったりのサイズにしようね。」
お父さんはそう言いながら、木を切り、ミミと一緒に釘を打ち込んだ。
ミミはペンキで可愛らしいパステルカラーを塗り、ドアにはチョコの名前を刻んだ。
完成したクローゼットは、小さな犬のための夢のような空間になった。
中には小さなハンガーが並び、ドアを開けるとチョコのカラフルな服がきれいにかかっている。
引き出しの中には、帽子や靴下、小さなアクセサリーも収納された。
チョコは最初、クローゼットを不思議そうに見つめていた。
しかし、ミミが「今日はどの服を着る?」と聞くと、嬉しそうにしっぽを振って、クローゼットの前でちょこんと座った。
ある日、ミミが学校から帰ると、クローゼットの前でチョコが困った顔をしていた。
よく見ると、クローゼットのドアが少し開いていて、中の服が一部床に落ちていた。
「どうしたの、チョコ?」
ミミはチョコの服を拾いながら、クローゼットの中をのぞいた。
すると、奥からかすかに光る何かが見えた。
ミミはそっと手を伸ばし、それを取り出してみた。
それは小さな鍵だった。
見たこともない形の鍵。
ミミはクローゼットの側面を触ってみた。
そして、ふと気づいた。
クローゼットの底に、小さな鍵穴があったのだ。
「これって……もしかして?」
ミミはそっと鍵を差し込み、回してみた。
カチリと音がすると、クローゼットの底板がふわりと開いた。
そこには……小さなトンネルのようなものが続いていた。
ミミは驚いてチョコと顔を見合わせた。
チョコは尻尾をふりふりしながら、すぐにトンネルに飛び込んだ。
「待って、チョコ!」
ミミも後を追うと、トンネルの先には不思議な世界が広がっていた。
そこはまるでファッションショーの舞台のような場所だった。
犬たちが色とりどりの服を着て、ランウェイを歩いている。
キラキラ光るスポットライト、大きな鏡、ふわふわのカーペット。
どこもかしこも、犬のためのオシャレな空間だった。
「すごい……ここは何?」
「ワンワン・クローゼット・ワールドへようこそ!」
ミミの前に、一匹の白いプードルが現れた。
そのプードルは金のリボンをつけ、とても優雅な雰囲気をまとっていた。
「ここは、おしゃれが大好きな犬たちの夢の国。素敵な服を持っているワンちゃんが、特別な鍵を見つけたときだけ、ここに来ることができるのよ。」
ミミは驚きながらも、嬉しくなった。
「チョコ、すごいね! 私たち、すごい場所を見つけちゃった!」
チョコは嬉しそうにクルクルと回りながら、ランウェイを歩き始めた。
まるでトップモデルのように、みんなの注目を集めていた。
こうして、ミミとチョコは特別なクローゼットを通じて、夢のようなファッションの世界を体験することになった。
それからというもの、二人はたびたびクローゼットの扉を開けては、新しい冒険を楽しんだ。
今日もチョコは、ミミが選んだお気に入りの服を身につけながら、クローゼットの前でしっぽを振っている。
「今日はどんな素敵な世界が待っているのかな?」
ミミは微笑みながら、そっと鍵を手に取った。