朝霧真帆は、ヨーグルトが好きだった。
ただの「好き」ではない。
愛していると言っても過言ではなかった。
毎朝欠かさず食べるのはもちろん、仕事帰りにはスーパーに寄り、新しい種類のヨーグルトを探すのが日課だった。
果実入り、無糖、飲むタイプ、ギリシャヨーグルト——どれも好きだが、ふと彼女は思った。
「いつも同じ食べ方じゃ、つまらないかも?」
その日の朝、いつものようにプレーンヨーグルトに蜂蜜を垂らしてスプーンを差し入れたものの、なんとなく手が止まった。
新しい味を求めている自分に気づいたのだ。
まず試してみたのは、塩気のあるヨーグルトだった。
冷蔵庫の中を漁ると、味噌が目に入る。
直感的に、味噌とヨーグルトを混ぜたら面白いのではないかと思った。
小皿に取り出し、ほんの少しの味噌を溶かしてみる。
一口舐めてみると、まろやかなコクのある味わいが広がった。
「これ、ディップにしたら美味しいかも?」と閃き、冷蔵庫から野菜スティックを取り出して試してみると、想像以上に合うことに驚いた。
勢いづいた真帆は、ヨーグルトを温めることに挑戦した。
「ホットヨーグルト」という言葉をネットで見つけ、試しに電子レンジで軽く温めて蜂蜜を垂らして飲んでみると、意外にも優しくまろやかな口当たりだった。
寒い冬の朝にぴったりだと感じた。
さらにヨーグルトをカレーに加えてみたり、スープに入れてみたりと、温かい料理との相性を確かめていくうちに、ヨーグルトの可能性の広がりに興奮するようになった。
甘いヨーグルトも好きな彼女は、次にヨーグルトを使ったスイーツ作りに取り掛かった。
チーズケーキのクリームチーズの代わりにヨーグルトを使い、ヘルシーなヨーグルトケーキを焼いてみる。
酸味が程よく効いていて、軽やかな食べ応えだった。
さらに、ゼラチンで固めたヨーグルトムースやヨーグルト寒天にも挑戦し、「これならカロリー控えめで罪悪感ゼロ!」とひとりで喜んだ。
気づけば、彼女のヨーグルト生活は完全に変わっていた。
冷蔵庫には、塩ヨーグルト、ヨーグルトチーズ、ヨーグルトマリネなど、かつての自分では思いつきもしなかった食材が並んでいる。
朝だけでなく、昼も夜もヨーグルトを楽しむようになった。
そして、ある日、彼女は確信した。
「ヨーグルトって、無限の可能性がある!」
こうして、朝霧真帆のヨーグルト探求の日々は、終わることなく続いていくのだった。