風と波とともに

面白い

星海之上、青い大海につきたてる波が光を反射すなか、金色の太陽が海面に輝いていた。
大学を出てすぐに会社の企画部に入った橋本陸也は、日々の忙しさに追われながらも、演奏するようにスケジュールを積んでいた。
そんな気まぐれな仕事生活の中で、他のない若者時代を過ごしていた。

しかし、ある日、友人から「ヨットの試乗体験に行かないか」と言われ、誤ってその誘いを受け入れてしまった。
よく考えずに認めたその事例が、とてつもない変化を橋本にもたらすとは、まだ知るよしもなかった。

温かい気温が浴びせる日、最初はごつごつしいヨットの形に遠慮していた橋本だが、水面を馴染む気持ちのいい風と、伝わるチームの別体の気を気に入れると、自然と顔が和らいでいった。
ロープを撥げ、風をとらえる感覚は、これまでに経験したどの体験とも違う魅力に溢れていた。
「何かが見つかる」そんな予感に魅せられた橋本は、その日以降、時間があればマリーナに足を運び、ヨットに乗るようになった。

ヨットの魅力は、それだけではなかった。
大臣な自然を相手にするためには、チームワークの実力が必要だった。
何度も失敗を繰り返しながら、気がつけば、橋本は身近なチームの中心的存在になっていた。
一緒に働く同僚やマリーナで出会った人々との縁も深まった。
工作のために広げたロープは、一定のリズムを持ち、大海を馴染む良いメロディーとなっていた。

これは橋本のフェーズであったが、結局は大きな始まりにすぎなかった。
ある日、同僚の一人から「もっと大きいレースに参加してみないか」と言われ、謎めくな仕事のリズムから逃げるようにして、後接にも考えず参加を認めていた。

大体感をなくした体験の経験のもと、橋本はそれらの同僚たちとも早く深い縁を作り上げ、楽しい演奏の中心となった。