アサイーボウルと私

食べ物

私は、アサイーボウルが大好きだ。
どれくらい好きかというと、週に一度は必ず食べ、時には朝食やおやつとして、そして疲れた夜にだって、アサイーボウルを手に取るくらいだ。
友人たちは「また食べてるの?」と驚くけれど、私はその度に笑って「だって美味しいんだもの」と言う。
だけど、私がアサイーボウルにこんなにも夢中になったのには、少し特別な理由がある。

私が初めてアサイーボウルに出会ったのは、大学を卒業して数年経ったころ。
忙しい日々に追われ、心も身体も疲れ切っていた私は、自分の時間を作ることさえできなくなっていた。
仕事は大好きだったし、毎日頑張ることには充実感を感じていたけれど、なんとなく満たされない気持ちが心のどこかにあった。

その頃、私の親友であるエミがブラジル旅行から帰ってきた。
彼女は私と違って、自分のペースで人生を楽しむのが上手な人で、仕事と趣味、友人との時間をバランスよく過ごす方法を知っていた。
エミは旅行のお土産話をたくさんしてくれたが、その中で彼女がとにかく熱心に話していたのが、ブラジルで食べた「アサイーボウル」の話だった。

「ブラジルで毎朝食べたんだよ!フルーツがいっぱい乗っていて、すごくヘルシーだし、エネルギーも満たされるの。疲れた時にはピッタリで、甘さも控えめ。あれは本当に癖になるよ!」

私は最初、その話を聞き流していた。
だって、ただのフルーツボウルに見えるものが、どうしてそこまで彼女を夢中にさせるのか理解できなかったのだ。
しかし、エミは「一緒に食べに行こうよ!」と熱心に誘ってくれ、近所のカフェでアサイーボウルを初めて口にすることになった。

その日、私は驚いた。紫色のベースとなるアサイーが、冷たくてフレッシュな味わいで、上に乗っているバナナやイチゴ、ブルーベリー、そしてパリパリのグラノーラとの相性が抜群だった。
ハチミツのほんのりした甘さが全体をまとめていて、体に優しいのにしっかりと満足感が得られる。
アサイーボウルを一口食べた瞬間、私の中で何かが変わったように感じたのだ。

それからというもの、私はアサイーボウルにハマり始めた。
カフェで食べるだけでは物足りなくなり、自分でも作ってみるようになった。
インターネットでレシピを調べ、スムージーボウル用のアサイーパウダーや冷凍アサイーピューレを取り寄せて、好きなフルーツを盛り付ける。
ある日は甘いバナナとベリー系を組み合わせ、別の日はマンゴーやパイナップルを加えてみたりして、自分なりのアサイーボウルを追求した。

そんな中で気づいたのは、アサイーボウルを作る時間そのものが、私にとって癒しの時間になっていたということだ。
忙しい日々の中で、アサイーボウルを作るためにキッチンに立ち、冷たいアサイーをミキサーにかけ、フルーツを切り分けて彩りよく盛り付けるそのプロセスが、私の心をリセットしてくれるのだ。
何かに追われることなく、自分のペースで美味しいものを作り上げる時間。
それは、私が忘れていた「自分のための時間」そのものだった。

アサイーボウルが私に与えてくれたものは、単なる栄養やエネルギーだけではない。
心の栄養も、アサイーボウルはたっぷりとくれたのだ。私の生活は少しずつ変わり始めた。
忙しい中でも、少しでも自分のための時間を作ることの大切さを思い出し、仕事が終わった後には散歩に出かけたり、週末には自然の中でリラックスする時間を取るようになった。
そんな小さな変化が、私の心と体に大きな影響を与えた。

ある日、私はエミに感謝を伝えた。
「あの時、アサイーボウルを教えてくれてありがとう。あれがきっかけで、自分の時間を持つことの大切さに気づけたんだ」と言うと、彼女は笑って「それは良かった!でも、アサイーボウルがあってもなくても、いつかは気づけたと思うよ」と言った。

確かにそうかもしれない。
でも、私にとってはアサイーボウルがそのきっかけだったのだ。
美味しいものが持つ力、そしてそれを楽しむ時間の大切さを教えてくれた。
アサイーボウルは、今や私の心のリセットボタンのような存在だ。

仕事に疲れた時、少し気分が落ち込んだ時、そしてただ「美味しいものが食べたい」と思った時、私はアサイーボウルを作る。
冷たいアサイーに、フレッシュなフルーツを盛り付けて、その瞬間だけでも自分を大切にする。
それは、私にとってとても大事な時間になっている。

エミとのアサイーボウルの思い出はもちろん、私のこれからの人生においても、アサイーボウルは私を癒し、元気づけてくれる大切な存在であり続けるだろう。