花火と座敷童

友情

昔々、日本の山間にひっそりと佇む小さな村がありました。
その村には、古びた屋敷がひとつありました。
この屋敷には、村人たちの間で「花火を愛する座敷童」として知られる存在が住んでいました。
その座敷童の名前は「こはな」と呼ばれていました。

こはなは、村人たちにはあまり知られていませんでしたが、彼女は一年中、座敷の中で美しい花火を打ち上げることに喜びを感じていました。
彼女は小さな手に花火を仕込む技術を持ち、庭で打ち上げられる花火の美しさを楽しんでいました。

ある年の夏、村は夏祭りを開催することになりました。
屋台やお神輿、そしてもちろん花火が、村人たちの楽しみの一つとなりました。
こはなも興奮し、自分の美しい花火を村人たちに見せることを考えました。

しかし、こはなは座敷童として村人たちには見つかってしまうかもしれないと心配しました。
そこで、こはなは特別な術を使って、自分を人間の少女に変えることができる能力を持っていました。
彼女はこの力を使い、村人たちに混じって花火の祭りを楽しむことにしました。

祭りの日、こはなは美しい花火を見上げながら、村人たちと一緒に歩きました。
彼女は人間の少女として、村の中で楽しさと興奮を共有しました。
そして、夜が更けるにつれて、大きな花火が打ち上がる時間が近づいてきました。

こはなは、花火の打ち上げの前に、自分のことを人間であることを告白しようと決心しました。
村人たちに座敷童の存在を知らせることで、こはなは本当の自分を受け入れてもらいたかったのです。

花火の打ち上げが始まると、こはなは人間の少女の姿で、みんなと一緒に花火を楽しんでいました。
そして、大きな花火が打ち上がる瞬間、こはなは自分の本当の姿に戻り、美しい花火を打ち上げました。

村人たちは最初驚きましたが、すぐにこはなの美しい花火に感動しました。
こはなは座敷童であることを告白し、自分の座敷で打ち上げる花火の美しさを村人たちと共有しました。
その瞬間、座敷童と人間の友情が生まれ、村に新たな絆が生まれました。

以後、毎年の夏祭りで、こはなは座敷で美しい花火を打ち上げ、村人たちと楽しさと幸福を共有しました。
そして、その座敷童の花火は、村の伝統となり、次の世代へと語り継がれることとなったのでした。